図1 午前6時の地上天気図
生徒 「今日も日本付近は秋雨前線が停滞していますね。その割には東北を除いて雨雲にまとまりがない気がします。」
アウル教授 「秋雨前線は今弱っているのじゃ。機能しておるのは東北くらいとなっておる。ほとんど雨雲を伴っていない前線となっておる。」
生徒 「そういうこともあるのですね。前線=雨かと思っていました。」
アウル教授 「確かに前線付近は雨が降りやすい。秋雨前線に関しては、北側と南側から風が吹き付けて、行き場を失った空気が上空へと運ばれることで上昇気流が起きる。この原理からも風が強く吹けば吹くほど強い上昇気流が起きることがわかるじゃろう。」
生徒 「で、今雨雲が少ないということは上昇気流が弱いということですか?」
アウル教授 「確かなことはわからんが、私はそう考えておる。日本海に低気圧があって、その低気圧周りの風から本州は広く西寄りの風が吹く。しかし、台風16号が接近してきたことで、台風周りの反時計回りの風、つまり本州付近では東寄りの風が入ってきているのではと考えておる。これにより、西よりの風が弱められて、雨雲として十分発達できるような上昇気流が起きなくなっているのではと考えておる。」
生徒 「雨雲の材料である水蒸気はあるのですか?」
アウル教授 「水蒸気に関しては今度は台風15号からたっぷり供給されておる。」
生徒 「ということは、上昇気流さえあれば、雨雲として発達する条件は揃うわけですね。」
アウル教授 「そういうことじゃ。今は雨雲はまばらに分布しておる。主に地形的な強制上昇が起こるような場所に限られておるじゃろう。今後は日中にかけて気温が上がってくると、上昇気流が強くなって雨雲ができるということも考えられる。」
生徒 「一方で先ほども出てきました2つの台風が心配ですね。」
アウル教授 「まず台風16号じゃが、この時間小笠原諸島に最接近しておる。ただ、予想よりも離れた海上を進んでいるため、父島のアメダスでは風はやや強いが雨はあまり観測されておらん。この後は本州からは離れた海上を進むため、本州への直接の影響はなさそうじゃが、海上ではうねりによる高波に注意が必要じゃ。」
生徒 「一方で台風15号は本州への影響も心配ですね。」
アウル教授 「台風15号は明日から明後日にかけてゆっくりと南西諸島を通過していく予想じゃ。そして明々後日には九州に接近、場合によっては上陸の恐れもある。記事トップの雨雲レーダーの図でも左下に小さいながらも強い雨雲が散在してきておる。台風周辺の非常に湿った空気による雨雲で、台風の最も外側の雨雲といってもいいじゃろう。すでに風が強まってきており、台風への備えが欠かせない。」
生徒 「まだ本州は台風から離れていますが、2つの台風からのうねりが届き始めていますね。」
アウル教授 「2つの台風からの波ということで、高校物理を学習したことがある人なら分かると思うが、所によっては強めあってより高い波となることがある。太平洋側では全域で、思ってもいないような高い波に襲われる危険があるので、海水浴などは特に注意が必要じゃ。」
アウル教授 「今日は台風の情報も織り交ぜたためやや長い記事となった。ようやく天気マーク図じゃ。東京や宇都宮などに雨マークがついておるが、詳しい予報では、本格的な雨は夜になってからという予想じゃ。ただ、夜は激しく降る恐れがある。気温はやや高め。湿度も高く蒸し暑い一日となりそうじゃ。まだまだ冷房は手放せんのう。」
(画像は全て気象庁HPより)