本来なら今日2つ目の記事がこれになるつもりでしたが、午後2時半頃に関東地方で地震があったため、この記事が3つ目となりました。

エルニーニョ監視速報が発表されてから2週間ほどが経ちました。気象庁は今年の夏にエルニーニョ現象が発生する可能性が高いと発表しています。その時の記事で、皆さんに、今年の夏は暑くなるか、涼しくなるか、平年並みかという直感をアンケートで聞いてみました。現在も投票は行っていますが、この時間までに投票された結果を見てみると、「例年並みの暑さになる」が最も多く、ついで「いつも以上に暑くなる」という意見が多く、「例年より涼しくなる」というのは最も少ない意見となりました。
気象庁は毎月25日に翌月から3ヶ月間の気候を予想した3ヶ月予想を発表しています。今月の3ヶ月予想は、6〜8月の気候予想で、この夏の天気を占う重要な資料となります。
では、早速気象庁の予想を見てみましょう。

図1  6〜8月の平均気温と降水量予想
この図はあくまでも6〜8月の3ヶ月全体の予想です。この図を見ると、気温は平年並みか平年より高くなる予想で、降水量は平年より多いと予想されています。
皆さんの投票(直感)は正しいとある意味では言えるかもしれません。
しかし、これだけ見ても3ヶ月という広い範囲での予想なのでこれだけで猛暑か冷夏を判断することはできません。
決してこの図だけを鵜呑みにしないでください。
その理由については後で書きます。

今度はそれぞれの月ごとに見ていきましょう。

【6月】
図2  6月の平均気温と降水量予想
平年では沖縄では梅雨が明け、本州では本格的な梅雨を迎える時期です。
そんな時期、沖縄では降水量が平年より多くなると予想されています。ということは梅雨明けが遅れる、もしくは梅雨末期の雨が多くなると予想できます。
一方、本州では降水量が平年より少なく予想されています。こちらでは、その分、梅雨入りが遅くなるのではと予想できます。
気象庁の予報でも、6月の本州は、比較的前線の影響を受けにくく、晴れの日が多いと予想されています。

【7月】
図3  7月の平均気温と降水量予想
平年では、沖縄は夏本番。本州でも梅雨末期を迎えます。後半は梅雨が明け、夏本番を迎える時期です。
本州では、気温が例年より低め、降水量も多めです。梅雨末期は毎年災害級の大雨が多い時期ですが、今年もそういう気候になるのではと予想できます。気温が低めですから、梅雨明けが遅まり、下旬でも梅雨空が広がるかもしれません。
気象庁の予報では、本州は前線の影響を受けやすく、雨がちになりやすいと予想されています。沖縄は例年通り夏空予想です。

【8月】
図4  8月の平均気温と降水量予想
平年では、全国的に太平洋高気圧に覆われ、夏空が広がる時期です。
しかし今年は、特に日本海側を中心に気温が低く、降水量も多め。日本海側はこの時期、稲作の重要な時期でしょう。その他の本州でも気温は平年並みでも降水量は多めと予想されています。今年は太平洋高気圧の勢力が弱く、綺麗な夏空があまり期待できないのではと予想できます。
気象庁の予報も、前線の影響を受けやすく、曇りや雨になりやすい予想です。


どうでしょうか?一概に今年の夏は暑いとも涼しいとも言えないでしょう。

6月、7月、8月を通したものが図1となるわけです。極端に言えば6月に気温がとても高い、7月は平年並み、8月はやや低いという予想でも3ヶ月を通せば平年より高いという予想になってしまうのです。決して図1は、3ヶ月全てを通して暑いとか平年並みとかを言っているのではないということに注意してください。

当然ですが、夏に降水量が多くなると、その分日射量が減るわけですから、平均気温は下がります。降水量が多ければ気温は低く、降水量が少なければ気温が高いという関係になります。この降水を左右するのが太平洋高気圧です。以前のエルニーニョの時の記事で詳しく書いたのでここでは詳しく書きませんが、エルニーニョ現象が起きると、太平洋高気圧は弱まります。すると梅雨期は梅雨前線がなかなか北上せず、同じような場所に停滞します。夏は雲が広がりやすくなって日本付近は雨がち、気温は下がります。
今年は夏ほどエルニーニョが予想されていました。沖縄の梅雨明けが遅いこと、本州の梅雨入りが遅いこと、7月の降水量が多くて本州の梅雨明けも遅いこと、8月の降水量が多く気温が低いこと、全て太平洋高気圧が平年より弱いとすれば合点がいきます。

私たちが本格的に夏と感じるのはおそらく梅雨が明けてからでしょう。農作物、特に稲などに影響を与えるのも、梅雨明け後の日射でしょう。その意味で、私たちの生活に大きな影響を与えるのは7月末から8月です。その時期の予想が気温は平年並みか平年より低い、降水量は平年より多いという予想なのです。今、この時期、暑くなっています。直感では今年の夏は暑いんだろうなあと思うほどです。しかし、今の暑さはすでにエルニーニョの兆候なのかもしれません。今年は冷夏対策も少しやっておくことが、もし予想通りに冷夏となった場合に被害を小さくすることにつながるのではないでしょうか。

(画像は全て気象庁HPより)