生徒 「ここ最近はすっきりした秋晴れがありませんね。今日の東京もどんよりした雲が広がって、雨でも降るのかと言った感じです。今日は中秋の名月。天気が心配ですね。」

アウル教授 「日本の南に前線が停滞しておって前線の北側の弱い雨雲が太平洋側を中心にかかりやすい状況となっておる。前線自体のかかっている九州南部ではやや強い雨雲が、その他の地域は弱い雨雲がかかっているという感じじゃ。」

図1 午前6時の地上天気図

アウル教授 「天気図を見ても、ちょうど日本列島の南では前線が北へ盛り上がっていて、前線に近いことがわかるじゃろう。九州南部に前線がかかっていることもわかる。この後じゃが、ゆっくりとこの盛り上がりは東へ進み、前線は日本から離れていく予想で、太平洋側の弱い雨雲はなくなっていき、九州のやや強い雨雲は弱い雨雲へと変わっていく予想じゃ。天気分布予報によると、夕方には九州南部と関東を除く西日本、東日本では晴れ間もひろがって中秋の名月に期待ができそうじゃ。関東に関しては、雨はやんでくるものの雲が広がりやすいという予想で、他地域に比べれば中秋の名月は見にくくなりそうじゃ。また弱いながらも雨が降りやすい九州南部はさらに難しいかもしれんが、雨が止んでいればもしかしたら雲の隙間から顔をのぞかせることもあるかもしれんし、気温もちょうどいいくらいじゃから、外に出て空を見上げてみるというのもいいことかもしれんのう。」

生徒 「一方で北日本には寒冷前線が近づいていますね。」

アウル教授 「典型的な寒冷前線の性質として激しい雨が短時間の降るというのがあるがまさにそういう雨が降りそうじゃ。発達した帯状の雨雲が北海道の西から東へと進んでいきそうじゃ。この雨雲には発雷が多数検知されているので、落雷や突風といったシビアな現象にも十分な注意が必要じゃ。前線が東へと進み夜には北海道東部にかかりそうじゃ。前線通過後は天気が回復していくので、西部では夜までには雨が止んで晴れ間も広がってきそうじゃ。月も期待できる。西武に関しては夜の時点で前線がかかっているということで月見は難しいかもしれん。」

生徒 「さらに日本の南には台風21号があって沖縄地方に近づいていますね。」

アウル教授 「昨日から今日にかけて台風21号は大きく発達してきておる。これは沖縄近海の海水温が高いためで、この後もさらに発達しながら先島諸島に接近する予想となっておる。現時点で中心付近の最大瞬間風速は70m/sとなっておる。先島諸島への最接近は明日の朝と予想されておるが、すでに沖縄本島地方も含め台風の強風域に入っており、風速が10m/sを超える地点も出始めておる。雨に関しては現時点ではまだあまり観測されておらんが、台風の中心付近には非常に発達した雨雲が解析されており、この雨雲が先島諸島に接近する予想となっておる。明日の先島諸島は暴風雨となる予想で、最大級の警戒が必要となる。沖縄本島地方でも雨はそれほどでも風に関しては強まってきそうで強風もしくは暴風への備えが必要となる。今回の台風は先島諸島にかなり近いところを通過する上、台風の進行方向にたいして右側に入る予想が濃厚であるため、今年接近した台風の中でもかなり強い雨風となる恐れがある。今までにも車がひっくり返るほどの被害が台風の度に起こってきたが、今回もそれ並みもしくはそれ以上の被害が起きる恐れは十分あると思うので、最大級の警戒が必要で、台風が完全に離れるまでこの警戒は必要じゃ。というのは今回は発達しながらの接近ということで、台風が離れ始めてもなかなか雨風の強い状態が収まらないことが予想されるからじゃ。南西諸島の方は…月見なんていう気分ではないかのう。」

図2 午前9時発表の天気予報


アウル教授 「さて、今日ゆっくりと月見が楽しめそうなのは、九州南部と関東、それに北海道東部、沖縄地方以外の地域じゃろうか。ただ、九州南部や関東では雨さえ止んでいれば、雲に隙間から見えることもあると思うので、秋の空気を感じながら夜空を見上げてみるというのも、たまにはいいことじゃろう。」