生徒 「日に日に日中の気温は上がり、昨日の東京は13℃を超えて久しぶりに日差しの温もりを感じましたね。」

アウル教授 「一時期の寒さゆえにより暖かく感じるかもしれん。ただ、朝は氷点下の冷え込みが続いており、一日の間で温度差が大きくなっておる。そろそろインフルエンザも流行入りし始めておるようじゃから、体調管理が大切な時期じゃ。」

図1 27日夜の天気図

アウル教授 「いろいろ気圧の谷っぽいところなどがあるが、(不自然に等圧線がカーブしているとまたコメントをいただきそうな天気図じゃが)、注目したいのは青い線で書いた2つの気圧の谷じゃ。」

生徒 「気圧の谷が発生するということは上空は気圧の谷があって、寒気が入ってくる前触れということでしたね。」

アウル教授 「それを確かめるために水蒸気画像を見てみよう。」

図2 27日夜の水蒸気画像

生徒 「確かに青いラインのあたりで気圧の谷が確認できますね。」

アウル教授 「しかし、この気圧の谷は今後なくなっていく方向にあって、したがって日本海の気圧の谷がこの後低気圧に発達する予想はない。」

生徒 「それでは台湾付近の気圧の谷も発達せずになくなっていくのですか?」

アウル教授 「実は、上の水蒸気画像で書いた気圧の谷は、日本海の気圧の谷には影響するが、台湾付近の気圧の谷には影響しない。やや離れすぎているためじゃ。では、台湾付近の気圧の谷が何に影響されるかというと…」

図3 27日夜の水蒸気画像(広域版)

アウル教授 「実は、もっと西側にしっかりと上空の気圧の谷が控えておるのじゃ。しかも中国北部の上空の気圧の谷よりも深く大きなものじゃ。このために台湾付近の気圧の谷については今後発達して前線と低気圧になっていく予想じゃ。」

生徒 「なるほど。発達していない上空の気圧の谷がバックについている日本海の気圧の谷は発達しない。発達した上空の気圧の谷がバックについている台湾付近の気圧の谷は発達するということですね。」

アウル教授 「では、この消長が日本の天気にどう影響していくかを考えていこう。」

生徒 「今新潟県より北の日本海側を中心に所々雨雲や雪雲がかかっているといい状況ですね。」

アウル教授 「日本海に気圧の谷があるということで風は西寄りの風となっておる。東北地方では海からの風が入るために雨雲や雪雲が発生しているという状況じゃ。しかし、この後気圧の谷は衰弱していく予想じゃ。その時の天気図がこれじゃ。」

図3 今後の予想天気図

アウル教授 「日本海側の風の向きに注目してみよう。」

生徒 「気圧の谷がある間は西寄りの風ですが、その後は次第に北日本は北寄り、東日本や西日本は東寄りの風に変わってきますね。海からの風だったのが陸からの風に変わってくるので雨雲の発生は緩やかになってくることが考えられますね。」

アウル教授 「このように、今降っている東北や新潟県の雨や雪に関しては次第に収まってくる予想じゃ。では北海道はどうじゃろうか?」

生徒 「今夜にかけても北寄りの風が吹き、また、等圧線の間隔もほぼ変わらないですね。」

アウル教授 「現在北海道では10〜15m/sくらいの風が吹いておるが、今夜にかけても北海道の等圧線の間隔は変わらないことから、この程度の強風が続く予想じゃ。また、北寄りの風ということで西部の日本海側を中心に雪が続く予想じゃ。暴風雪とまではならないものの風雪くらいには注意が必要じゃ。」

生徒 「だいぶ寒気が北へ上がったようで、新潟県でも雪ではなく雨予想が中心ですね。」

アウル教授 「雪が止んでひと段落と言いたいところじゃが、積もった雪が雨を含むと重くなって落雪や雪崩などの危険性もある。不用意に雪の積もった近くに行くことは危険じゃ。特に高い建物からの落雪は時に大被害を生む恐れもあるので特に要注意じゃ。建物の所有者も落雪が起きないようあらかじめ雪を取り除いておくことが大切じゃ。」

図4 27日夜の赤外衛星画像

アウル教授 「さて、もう一つの台湾付近の気圧の谷。これは今後発達していく予想だと先ほど述べたが上の赤外衛星画像でも雲が大きくまとまってきている様子がわかる。この雲がこの後東へ進んでいくわけじゃから西から天気は下り坂ということは理解できるじゃろう。」

生徒 「低気圧周辺では湿った空気が入ってきそうですね。」

アウル教授 「前線と低気圧の場合、前線の南側と低気圧周辺で特に発達した雲ができるので強い雨に注意が必要になる。」

図5 相当温位予想図

アウル教授 「上の図は見慣れない図だと思うが、湿った空気の度合いを予想した図じゃ。湿った空気が入るということは当然雨雲ができやすい。湿っていれば湿っているほど発達した雨雲ができる。この図でおよそ青いラインより南の地域(315K以上)では発達した雨雲ができて強い雨が降るおそれがある。(このラインは季節によっても異なるので注意)すると明日29日朝には九州でこのラインより南に入っている。(290000UTCは日本時間で29日朝9時を表す)。今日のところはまだこのラインより北側だから大雨にはならないと言い切ることはできないが、今後この低気圧によって雨が強く降る地域が出てくるかもしれないということは頭に入れておこう。また、このラインと雨の降り出しは関係ない。」

生徒 「この時期東シナ海からやってくる低気圧は南岸低気圧となって太平洋側に雪をもたらすことがありますが、今回はどうですか?」

アウル教授 「すでに寒気がだいぶ北上して新潟県でも雨になっていること、低気圧が西日本方面で比較的北側を通ることから、西日本はほとんどの地域で雨となる予想じゃ。先ほども述べたように強い雨となる恐れもある。一方で、東日本の低気圧進路はまだ出ておらん。今のところ雨優勢の予想じゃが、この時期の低気圧は位置が少しずれるだけで雪となることもあるので、心配な方は最新の情報をこまめにチェックするようにしよう。」

生徒 「雨はいつ頃から降り出しますか?」

アウル教授 「今日午前中は前線に近い九州で雨が降り出してくる予想じゃ。中国や四国は午前中は曇りで昼過ぎから夕方にかけて降り出し、近畿は午後以降曇りで夜になってから降ってくる予想じゃ。東海、北陸以東では降り出しは明日になるが、夕方以降雲が多くなってくる予想じゃ。これを目安に西日本では傘を持っていくと良いじゃろう。」

図6 今日の天気予報

アウル教授 「雨が降っても、南風が入ってくるために鹿児島は16℃まで上がってくる予想。その他も太平洋側を中心に10℃を超えてきそうじゃ。ただ、朝の時点では晴れている地域も多く、最低気温は0℃近くまで下がりそうじゃ。朝の冷え込みには注意が必要じゃ。」

 
■お天気メモ■
・新潟、東北日本海側は次第に天気回復へ。積雪地域の雪崩、落雪注意。
・北海道日本海側は引き続き風がやや強めの冬型。風雪注意。
・東シナ海で前線発生。天気は西から下り坂へ。 近畿まで今日に降り出し。
・前線と低気圧は本州に近い位置を通る予想。湿った空気が入って大雨の恐れも。落雷や突風注意。