■お天気メモ■
・前線上の低気圧が発達しながら北日本へ接近。のびる前線は西日本〜南西諸島を東へ進む。
・本州〜沖縄の停滞前線は寒冷前線に。前線周辺ではライン上の発達した雨雲列に注意。線状降水帯の下では局地的な大雨や落雷、突風の恐れあり。
・この寒冷前線が通過する影響で、 東日本で大雨の恐れ。特に南風の入る東海や甲信地方で大雨予想。土砂災害や低い土地の浸水に注意。
・ 前線が通過した後も北日本日本海側には低気圧が残る予想。この低気圧の北側で広く雨。南側は日本海側で雨の予想。
・ 日本海側の低気圧は発達しながら進んでくるため、特に北日本や東日本では風が強まる。強風や高波注意。西日本も朝まで風が強く吹く可能性あり。

生徒 「関東も夜になって雨が降り出してきました。今日は雨の降り方に注意が必要ということですね。」

アウル教授 「昨日と今日で違うのは日本にかかる前線の種類じゃ。昨日までは、あまり動かないタイプの停滞前線であったが、今日は動きの早い寒冷前線に変わってくる。停滞前線も大雨に注意が必要ではあるが、比較的広い範囲に広がるため、雨の強さとしては相対的に弱くなる。その分降る時間が長くなって雨量が多くなる。土砂災害警戒タイプの雨じゃ。一方で寒冷前線は、狭い範囲に一気に降るため、降る時間帯は短めでも一度に降る量が多くなる。どちらかというと河川の増水や低い土地の浸水に注意が必要なタイプじゃ。しかし、寒冷前線の場合も雨量が多くなるとそれだけ土砂災害の危険性も高まってくる。」

図1 10日夜の天気図

アウル教授 「さて、すでに沖縄方面で線状降水帯が観測されておる。寒冷前線化してきておるようじゃ。」

生徒 「どうして停滞前線が寒冷前線に変わるのですか?」

アウル教授 「停滞前線というのは、前線に接する2つの空気が拮抗した状態でどちらが勝るとも言えない状態なのじゃ。逆に言えば、少しどちらかに力が加わればその方向に動いていくことになる。その力が大陸からやってくる高気圧なのじゃ。この高気圧が進んでくることで、前線は東へ進み、停滞しなくなる。これで寒冷前線に変わることになるのじゃ。」

生徒 「寒冷前線になるとどのあたりで雨に注意が必要なのですか?」

アウル教授 「今言ったように停滞前線も寒冷前線も似た部分が多い。停滞前線では前線の南側と前線の折れ曲り周辺で大雨に注意という話をしたが、それとほぼ同じで、やはり前線のすぐ南側で大雨に警戒が必要じゃ。もちろん前線の折れ曲がり(低気圧)部分でも発達した雨雲が分布する。予想天気図を確認してみよう。」


生徒 「朝の時点では北陸から東海を通って南西諸島に伸びていますね。」

アウル教授 「この前線がかかる部分では雨の降り方に十分注意が必要じゃ。また、低気圧部分では東側〜北側を中心に雨雲が広がる。低気圧の東に雨雲があるというのは、温暖前線部分で発生するからで、それが風に流されて北に広がるのじゃ。今回の場合は北日本にあたる。一方で寒冷前線が通過した地域は天気が回復へと向かう予想じゃ。九州や中国、四国では朝には広い範囲では雨は上がってくる予想じゃ。昨日は九州各地でまた大雨となり、降りはじめからの雨量もかなり多くなっていることじゃろう。雨は朝には上がってくるが土砂災害への警戒は引き続き今日いっぱいは続けなければならない。雨が上がって数日後に土砂が崩れるということは珍しいことではない。」

生徒 「雨はどれくらい降りますか?」

アウル教授 「今日夕方までに東海で200mm、近畿や甲信で150mm、九州や四国、奄美で120mmが予想されておる。九州や四国は昨夜6時からの雨量であるためもう降り終わったとも言えるが。」

生徒 「夜になると前線はほぼ本州からは抜ける予想ですね。」

アウル教授 「関東など東日本の雨は夜には止んでくるところが多いという予想じゃ。近畿や東海はそれより前に止む。変わって九州からは高気圧がやってきておる。しかし、北日本に目を向けてみると、日本海にポツンと取り残された低気圧が存在するのがわかる。これは朝まで前線を伴う低気圧で日中、前線が外れ、衰弱傾向にある低気圧の名残じゃ。また、太平洋側には前線を伴った低気圧がある。これらの低気圧の北側にあたる北海道で引き続き広く雨。また、北陸〜東北の日本海側では、この低気圧を回る西寄りの風で海からの風となるため、弱いながらも雨が夜も残る予想じゃ。東北太平洋側は、山脈に遮られるため、日本海側の雨雲は流れ込まず、夜になると止む地域が多い予想じゃ。」

生徒 「今日は特に北日本や北陸では傘が一日必須ですね。西日本は朝降っていなければ傘は必要なさそうですね。近畿〜関東は朝はまだ雨が降っているので傘が必要ですが、帰宅時間帯は傘がいらない地域も多い予想で傘の置き忘れに注意が必要ですね。」

アウル教授 「もう一つ。日本海の低気圧は先ほど書いたように日中は次第に衰えるものの、それまでは発達しながら進んでくるため、東日本や北日本では風が強く吹く可能性がある。また、西日本も朝のうちは風がやや強く吹く可能性がある。強風や高波にも注意じゃ。」

図3 今日の天気予報

アウル教授 「朝から気温が高い。雨といえど南風が入るため関東では25℃に届くところもあるという予想じゃ。」