■お天気メモ■
・北日本上空を強い寒気が通過中。低気圧と寒冷前線付近で活発な雷活動。
・引き続き上空寒気の影響で大気の状態が非常に不安定。低気圧の東側〜北側にまとまった雨雲。
・低気圧通過後に上空寒気のピーク。低気圧通過後は西寄りの風となり、地形的上昇気流の起きる日本海側で雷雨が続く恐れ。
・奄美地方に梅雨前線が伸びてくる。昼前から九州や奄美では雨が降る予想。発達した雨雲に注意。今か今かの梅雨入りカウントダウン。

生徒 「今日から6月ですね。今月は祝日が1日もありませんし、梅雨入りの月でジメジメ感もあるし、だんだん気温が上がってくる月でもあり、中だるみの1ヶ月になりそうな予感が…」

アウル教授 「それはみんな同じじゃ。気分が晴れない日は、紫陽花の花を見て楽しんだり、雨の後は虹が見えるかもと期待してみたり、横たわる梅雨前線の長さにうっとりしてみたり、前向きに考えよう。」

生徒 「梅雨前線の長さにうっとりする人はそういないとは思いますけど、紫陽花はだいぶ咲いてきているようですね。毎日歩いていると目を楽しませてくれます。」

図1 31日23時半の赤外衛星画像

アウル教授 「紫陽花には雨が似合うとは思うが、この雨はシトシト雨で、豪雨にような強い雨は似合わんじゃろう。そんな強い雨が昨日から北日本を中心に続いておる。雷がゴロゴロ鳴ったり、雹がばちばち降ってきたりと大気の状態は非常に不安定になっておる。この原因は、昨日も述べたように上空の強い寒気じゃ。」

生徒 「北日本の雲は赤い丸で囲った部分ですが、弧を描いたような雲になっていますね。」

アウル教授 「真ん中の雲のない円の中心に低気圧の中心がある。上空に寒気が入ったときに限らず、一般的な前線を伴うような低気圧は、低気圧の東半分で雨雲が発生し、それが風に流されることで北側に広がる。こうして東〜北にかけての弧状の雲ができる。なぜ低気圧の東側で雲ができるのかというと、低気圧を回る反時計回りの風が、低気圧の東側では南風として吹いて、それが暖かく湿った空気をもたらすからじゃ。一方で低気圧の西側では北寄りの乾いた風となって吹くため、雲はできにくく、雲のコントラストがはっきりしておる。」

生徒 「これに今回はさらに上空の冷たい空気が影響していますね。」

アウル教授 「その通りで、ただでさえ雲ができやすいところに上空寒気が入ってさらに発達した雨雲が作られる。地上は南からの暖かい空気、上空は冷たい空気で温度差が大きくなるからじゃ。こうして北日本に雷雨がもたらされておるのじゃ。」

図2 31日23時半の雨雲レーダー、雷ナウキャストで

生徒 「雨雲もライン状に弧を描くように分布していて、三陸沖では雷活動が活発に起きていることがわかりますね。」

アウル教授 「天気図も重ねて見てみよう。」

図3 31日夜の天気図

生徒 「ライン状の雨雲は寒冷前線に対応するもののようですね。そして低気圧の北側にライン状の雨雲が続いていますね。」

アウル教授 「前線は東北地方を通過しておるが朝には抜けてくる予想じゃ。寒冷前線通過後は一旦天気が回復する。一方で北海道は低気圧本体が接近してくるのでその北側にある雲がかかり続ける予想じゃ。ここで注意して欲しいのは、昨日もかなり雷雨となったが、上空の寒気のピークは今日これからということじゃ。低気圧もまだ北海道に差し掛かったばかりで、この低気圧が通過した後すぐに上空寒気のピークを迎える。」

生徒 「雨がやんでも油断できないということですね。」

アウル教授 「低気圧が通過すると北日本は低気圧の西側にはいるが、こうなると日本海側は北〜西寄りの風が強まってくる。この風が東北を走る山脈にぶつかり、上昇気流が起きるのじゃが、ここで、まだ上空は寒気が残っており大気の状態が不安定なままなので、雲は急速に発達する可能性がある。ただ、寒冷前線通過後の乾いた空気が入ってきていることもあって、昨日見た発雷確率というのは低くなっておる。東北や北陸の一部は寒冷前線通過後の朝からは一旦雨が上がるが、日本海側では夕方以降を中心に再び雨が降り出す予想で、一度やんだらもう終わりではないことに注意したい。」

図4 今後の予想天気図

アウル教授 「結局、北日本は今日いっぱい急な雨に注意すべきと考えたほうがよさそうじゃ。一度雨がやんでも、特に日本海側は夕方から再び雨が予想されておるので、傘も忘れずに。雷雨の際は外出を控えるようにしたい。ちなみに北海道では夕方までに100mmの雨が予想されておる。」

生徒 「北日本も雨に注意したいですが、九州方面でも今日は雨が降る予想ですね。」

アウル教授 「昨日は活動が弱まっていた梅雨前線が再び活発になってくる予想で、前線も九州の南海上に伸びてくる予想じゃ。今夜には前線状に低気圧も発生する予想で前線活動が活発化していく様子がうかがえる。この前線に対応する雲は図1の衛星画像で緑で囲った雲で、広く分布しておる。これを受けて今日は昼前後から九州や奄美地方を中心に雨が降り出してくる予想で、前線上の低気圧が近づくにつれ雨の降り方にも注意したい。こちらでも雷を伴ったり雨が強く降ったり突風が吹く可能性があるので、天気急変に気をつけたい。」

生徒 「今日くらいに九州は梅雨入りでしょうかね?」

アウル教授 「梅雨前線による雨ということは確かなのじゃが、長続きはしないので、梅雨入り発表は難しい判断を迫られそうじゃ。九州は今週末から曇りや雨の天気が予想されており、今日か今週末か、どう考えるんだろうのう。」

図5 今日の天気予報

アウル教授 「九州南部や奄美、それに北海道や北日本〜北陸の日本海側では帰宅時間帯も雨で、強く降っている可能性がある。注意しながら帰宅しよう。その他の地域は日差しも出て、25〜30℃が予想されておる。」