■お天気メモ■
・西日本を昨日通過した強雨ラインは近畿、東海、北陸を通過中。九州、中国、四国は雨が上がってきた。
・近畿や東海の雨も朝には概ね上がってくる予想。その後は乾燥した空気に覆われ青空が広がる。台風の影響は少ない。
・関東の雨は昼過ぎまで、新潟県以外の北陸は夕方には天気は回復する予想。ただし、風は強い状態が夜遅くまで続く予想。
・ 台風10号は今日午後に東北地方へ上陸する可能性が高まっている。台風接近に伴い、北日本は大荒れの天気に。猛烈な雨や落雷、突風の恐れも。北日本の雨は夜遅くまで続く。
・陸上では暴風雨に、沿岸部では高潮にも、海上では高波にも厳重警戒。大雨となり土砂災害や浸水、洪水が発生する恐れも。最新の警報などを要チェック。不要な外出は控えよう。避難は明るいうちに。 

生徒 「いよいよ台風10号が東北地方へ上陸する予想日となりましたね。」

アウル教授 「台風10号は、本日午後に東北地方へ上陸する予想が非常に濃厚となっておる。これから台風接近にあたり雨風が強まってくることが考えられる。しかも上陸する台風としてはかなり強い部類の台風となっておるので、北日本にお住いの方は、特別警報が出されているつもりで、それくらいの思いで、命を守る行動を取るようにしてほしい。

生徒 「実際に雨風が強くなると、場合によっては特別警報が発表されるようになるかもしれませんね。しかし、以前から言われているように特別警報は最後の警告でもあり、これが発表されてしまうともうそれより後に警戒を呼びかける情報の種類がありませんので、あとは自分の身は自分で守るしかないということですね。そのための準備を早いうちにしておきたいですね。」

アウル教授 「懐中電灯、電池、ラジオ、数日分の食料、貴重品など、もしもの時に困らないように、一つにまとめておく、足りないものは一刻も早く買い足しておくことが必要じゃ。台風上陸は今日の午後、まだ午前中ならなんとか間にあうかもしれん。

図1 台風10号の進路予想

生徒 「台風の予報円も十分小さくなりほぼ進路が確定してきましたね。」

アウル教授 「ブレ幅も小さく、東北地方への上陸は免れないような状態になってきた。台風10号は昨夜9時の時点で中心気圧960hPa、最大風速40m/s、最大瞬間風速55m/sの強い台風になっておる。移動速度は25km/hとあまり速くはないが、今後次第に早まってくる予想じゃ。」

生徒 「暴風警戒域の幅が、今の暴風域よりも広くなっていく予想ですね。」

アウル教授 「台風もさすがにこの緯度までくると発達はできなってくる。しかし、今度は温帯低気圧として発達できるようになってくる。今回東北へ近づく段階はこの、台風から温帯低気圧へと変わろうとしていく段階であるため、台風として中心勢力が弱まるのに強風域や暴風域が広がるというようなことが起きる。それがこの暴風警戒域の広さに反映されておるのじゃ。つまり、台風から少し離れていても風が強まる可能性があるので油断はできないということじゃ。」

生徒 「風はどれくらい強くなるのでしょうか?」

アウル教授 「台風が上陸、通過していくので当然、台風の最大風速に近い風が吹く可能性がある。東北地方で最大風速35m/s、最大瞬間風速50m/s、北海道で最大風速30m/s、最大瞬間風速45m/s、関東や北陸、東海でも最大風速20m/s前後、最大瞬間風速30〜35m/sと広い範囲で暴風に警戒が呼びかけられておる。交通機関がストップすることも十分考えられるような予想風速じゃ。台風が少し離れ、雨がやんで青空が見えたとしても風はまだ強く吹く可能性がある。

生徒 「風によって、沿岸部などでは高潮や高波の可能性がありますね。」

アウル教授 「風が強く吹けばそれだけ波は高くなる。一方で高潮というのは低気圧が近づくことで気圧が下がって海水面全体が普段より盛り上がる(吸い上げ効果という)ことで、いつもより小さい波でも堤防を乗り越えられるようになることが特徴じゃ。コップに水を溢れるすれすれまで入れて、息を吹きかけるとこぼれてしまうのと同じじゃ。特に湾の奥などでは湾の奥に向かう風でさらに波が高くなり(吹き寄せ効果という)、堤防を乗り越える可能性がある。堤防を乗り越えてしまうと津波のように一気に街に海水がなだれ込むことになる。一般的に海水面は気圧が1hPa下がると1cm上がると言われておる。今回は普段(1000hPa)に比べておよそ30〜40hPaも気圧が低いから…これは今日のTwitterでのクイズにしよう(PC版表示では右の欄から回答可)。ぜひ考えてほしい。沿岸部の人にとってはとても大切なことなのでしっかり頭に入れておいてほしいことじゃ。」

生徒 「東北地方太平洋側はリアス式海岸で海岸線が入り組んだ場所が多いですね。つまり湾が多いわけです。さらに、東日本大震災で地盤が下がっている地域もあり、危険ですね。」

アウル教授 「もう一つ高潮の際に気にしなければならないのは、天文潮位と呼ばれるものじゃ。いわゆる満干潮じゃ。満潮というのは1日の中でも一番海水面が高い時間帯であるからこれにさらに吸い上げ効果と吹き寄せ効果が起きるとますます堤防を乗り越える可能性が高くなる。」

図2 石巻の天文潮位図

アウル教授 「天文潮位に関しては、数値計算で正確に出すことができるので、つまり、この時間帯にはそれだけのベースがすでにあるというわけじゃ。その上に吹き寄せ効果と吸い上げ効果を加味することになる。注目は、夕方の満潮じゃ。(緑矢印部分)」

生徒 「あれ、そういえば台風に接近、上陸も午後でしたね。」

アウル教授 「その通りじゃ。台風接近と満潮の時刻が重なってしまうのじゃ。過去には伊勢湾台風で高潮による大きな被害を受けたことがあるが、今回もその時並みの被害の恐れがあるという気持ちで高潮への備えをしたほうがいいかもしれんのう。」

生徒 「高潮への対策はどうすればいいのでしょうか?」

アウル教授 「まず何より海の近くには近づかないということが大切じゃ。普段よりはるかに海水面が高くなっている可能性がある。"ちょっと様子見に"という気持ちが二度と戻ってこられなくなることになるかもしれない。そして、家の中で大切なものは少しでも上の階に退避させておくといいじゃろう。場合によっては床上浸水となる可能性もあるからじゃ。」

生徒 「波の高さとしてはどれくらいになるのでしょうか?」

アウル教授 「東北で10m、北海道と関東で8m、東海で6mと猛烈なしけが予想されておる。」

生徒 「今回の台風は風だけでなく雨も注意が必要ですね。」

図3 深夜0時の雨雲レーダー

アウル教授 「昨日は西日本を中心にライン状の雨雲が通過したために激しい雨となったところがあった。その雨雲は深夜0時の時点で近畿、東海、北陸辺りまで進んできた。この雨雲の作られ方としては、日本海の低気圧を回る風(青い矢印)と、台風10号の周りを回る湿った風(赤い矢印)がぶつかったことで発生しておる。今後このライン状の雨雲は東日本、北日本へと、台風と日本海の低気圧を結ぶような形で移動していく予想じゃ。」

生徒 「西日本の雨のピークは過ぎたようですね。」

アウル教授 「そうじゃのう。九州や中国、四国はすでに多くのところで雨は止んでおる。近畿や東海の雨も朝の通勤時間帯には上がってくる予想じゃ。雨雲通過後は乾いた空気が入るようになる(図4では西日本に青い領域が広がる)ため、実は上空には強い寒気があるのじゃが、それでも雨は降りにくく青空が広がってくるという予想じゃ。」

図4 湿った空気の分布予想

図5 上空500hPa予想図

生徒 「今後は東日本や北日本で雨が強まってきそうですね。」

アウル教授 「関東や東北太平洋側にはすでに弱い雨雲がかかっておるがこれは台風も北側を流れる東風によって発生したものじゃ。まだ降り方は弱い。しかし、この後、ライン状の雨雲と、台風本体の雨雲が近づいてきて東北では2つの雨雲が合体するようになるので、非常に激しい雨、場合によっては1時間に80mmを超えるような猛烈な雨の可能性さえあるのじゃ。このような短時間での激しい雨では浸水害の可能性がある。高架下など周りより低い場所には一気に水が溜まって、例えば車などは身動きが取れなくなる可能性がある。雨が激しく降っている場合はこのような場所を通るのはやめよう。ちなみに関東は昼過ぎまで、福井や石川など北陸は夕方頃には雨は止む予想じゃ。少し台風からは離れておるからのう。東北や北海道は夜遅くにかけても降り続く予想じゃ。」

生徒 「総雨量としても多くなる予想ですね。」

アウル教授 「今日夕方までに東北地方で350mm、関東甲信で200mm、北陸と北海道で150mmの雨が予想されており、その後今夜以降も東北や北海道でさらに100mm以上の雨が予想されておる。総雨量が多くなるにつれ土砂災害の危険性が高まってくる。また、川が増水して洪水の可能性が高くなる。川の増水は自分より上流の地域で多くの雨が降ればその被害を受ける可能性がある。もし自分の住んでいるところはあまり雨が降っていなかったとしても川は増水している可能性がある。今日は川へは近づかないという意識が大切じゃ。今や川の水位などはインターネットで見ることができるのでそれを活用してほしい。台風が来るたびに、増水した川を見に行った人が流されて死亡などというニュースが入る。そのような愚かな行為は決してしないようお願いしたい。」

生徒 「土砂災害は雨がやんだ後に発生することもあるので、今日多くの雨が降ったところでは明日以降も土砂災害には注意しておきたいですね。」

アウル教授 「ここからは各時間帯ごとの天気分布図を見ていこう。」

図6 朝の天気分布予報

アウル教授 「東海より西では雨は上がっている予想じゃ。通勤時間帯はもう傘がいらないかもしれんのう。北陸より東側は広く雨が予想されておる。ところによっては激しく降る可能性もあり、通勤の足に影響する恐れがある。時間にゆとりを持って家を出たい。早めに交通情報もチェックしておこう。また、雨に濡れたまま過ごすのが嫌という方は着替えなども忘れずに。学校があるところは、、、今日は休校が多いのかのう。」

図7 昼過ぎの天気分布予報

アウル教授 「午後になると関東でも雨が上がってくるところが増えてくる予想じゃ。ただ、風に関してはまだ強い予想で、昼食で外に出られる方は飛んでくるものに注意したい。」

図8 夜のはじめごろの天気分布予報

アウル教授 「今日夕方は実は九州北部などでは一時夕立がある予想にもなっておる。上空寒気と、日本海の低気圧を回る風が九州では西風で海からの風になるからということじゃろう。しかし夜になるとその雨雲もなくなり関東より西は晴れているところが多い予想じゃ。一方で東北や北海道は台風が最接近しているような時間帯で当然、激しい雨の恐れがある。」

図9 今日の天気予報

アウル教授 「とにかく今日は東北地方を中心に荒れた天気となる。無事全ての人が命を落とさずにこの台風を乗り切れることを祈りたい。」