■お天気メモ■
・本州の南には前線があって、前線付近の雨雲が太平洋側に広くかかっている。全体として雨雲は抜けつつあるので雨は午前中まで。
・日本海には風の収束帯と弱い低気圧があると思われる。この周辺でも雨が降っている。
・この収束帯は今日はゆっくり南下し、日本海沿岸に近づくため、日本海側は雨が降る時間帯があるかもしれない。 念のため雨の降り方にも注意。
・明日は再び北高型になる予想で、関東はまた気温が下がる。気温の大きな変化に注意。 

生徒 「今日から11月ですね。今年も残すところ後2ヶ月になってしまったんですね。悔いなく年末を迎えたいですね。」

アウル教授 「ハロウィンも終わって、気が早い所は今日からクリスマスの準備になってくるのかのう。いよいよ秋も深まり、冬の訪れも感じる今日この頃じゃ。紅葉も見頃となってきているようじゃのう。」

図1 深夜1時の雨雲レーダー

生徒 「さて、昨日は秋田県で竜巻とみられる突風が発生するなど、大気は不安定なのでしょうか。」

アウル教授 「昨日は北日本を寒冷前線が通過した。この通過のタイミングで大気が特に不安定となったようじゃ。」

生徒 「寒冷前線自体は太平洋側にほぼ抜けたのでしょうか。寒冷前線に伴う雨雲はなくなったようですね。」

アウル教授 「そうじゃのう。寒冷前線付近のアメダス風向を見ても南寄りから北寄りに変わっておったので、寒冷前線自体は通過したようじゃ。ただ、ご覧のようにあちこちで雨雲も見られる。まだ大気は安定で晴れというわけにはいかないようじゃ。」

図2 31日夜の天気図

生徒 「天気図がごちゃごちゃしているという印象です。何かに覆われているという感じではないようにも見えますが。」

アウル教授 「まあ、まずは大雑把に見ると大陸と日本の東には高気圧、北海道より北と本州の南は低気圧という構造をしておる。ざっくばらんに言えば列島全体が気圧の谷の中という感じじゃ。全体的にそれほど天気は良くない環境、なので雨雲も目立つ。」

生徒 「細かく見ていくとその中でも雨雲がどこに分布しているのでしょうか。」

アウル教授 「まず、本州の南には前線が伸びておる。この前線に伴う雨雲が特に前線上の低気圧の部分で見られる。図1の雨雲レーダーでいうと四国にかかっているやや強めの雨雲の塊じゃ。」

生徒 「図1を見るとその雨雲が北東へ流されている感じですね。近畿や東海、北陸にも弱い雨雲がかかっていますね。」

アウル教授 「上空のジェット気流に乗って北東方向へ広がっておる。前線上の低気圧自体は東へと進んでいくので太平洋側の地域はこの雨雲がかかってくるということになる。」

図3 深夜1時の赤外衛星画像

アウル教授 「地震雲、、ではなく、上空のジェット気流に伴うライン状の白い雲が北東方向に伸びているのがわかる。この線に沿ってオレンジの矢印のように上空のジェット気流が流れておる。この風に流されて四国から北陸方面へと雨雲が広がっているのじゃ。」

生徒 「朝は関東などでも雨が降っているでしょうか。」

アウル教授 「そうじゃのう。これから雨雲がやってくるので朝の通勤通学時間帯は太平洋側各地で傘が必要になりそうじゃ。雨が降るということで主要都市、1桁の冷え込みとまではならない予想じゃが、それでも平年並くらいの気温にまでは下がってくる予想で肌寒い雨になりそうじゃ。」

生徒 「今日の雨は1日降り続くのでしょうか。」

アウル教授 「太平洋側の雨に関しては関東も含めて午前中までという予想じゃ。前線状の低気圧は比較的足早に通過していく。午後からは晴れ間も広がるかもしれんのう。ただ、この晴れ間も関東では特に長続きしない。」

図4 今日朝から明日朝までの予想天気図

生徒 「明日朝にかけてはまた高気圧が東北へ進んでくるんですね。」

アウル教授 「全国的に見れば天気は回復に見えるが、関東にとっては定番の北高型になってしまう。明日朝の予想天気図に書いたように青い矢印のような冷たく湿った北東風が吹いてくる予想じゃ。こうなると雲は広がるし気温も上がってこない。東京、今日は雨は正午以降は上がってきて気温もそこで上がってくるので平年並みになる予想じゃが、明日はまた15℃を日中も下回るような気温が予想されておる。」

生徒 「気温が上がったり下がったり。体調を非常に崩しやすいですね。十分お気をつけください。また、最近は湿度も下がってきました。ますます風邪を引きやすい環境になっています。」

図5 東京の時系列予想


生徒 「東京は午前中までは雨が予想されていますが午後は晴れマークも見られます。ただ、夜からはまた雲が広がりやすく、風も北東よりになってくることがわかりますね。」

アウル教授 「ここまで太平洋側の前線による雨について解説を行なってきた。それでは今度は日本海側の雨に関して解説していこう。図1に戻ろう!」

生徒 「雨雲レーダーによるとそれほどまとまった雨雲というよりはなんとなく線状に雨雲が発生しているような感じがしますね。朝鮮半島から能登半島沖、秋田県沖へと緩やかな弧を描いているように見えます。」

アウル教授 「そうじゃのう。この部分を図2の天気図で確認して見ると弱い気圧の谷が発生しているのがわかるじゃろうか。オレンジの線で描いたものじゃ。ここで雨雲が発生しておる。もっと冬になるとJPCZと言って筋状の雲同士がぶつかった境で特に雪雲が発達するというようなことがあるが、それに似ておる。まだ本州は雪のシーズンではないが、このような気圧の谷(シアライン)では雨の降り方にも注意が必要と言える。降ってもすぐ止みそうなほど細いラインじゃが、こういう細いラインほど意外と雷や竜巻が発生しやすいからのう。山椒は小粒でもピリリと辛い、じゃ。」

生徒 「このシアラインは今後どう影響してくるのでしょうか。」

アウル教授 「図4の予想天気図状にもこのシアラインをオレンジの線で書き加えておる。それによると今夜までこのシアラインは残りそうじゃ。さらに明日朝にはこのシアライン状に新たな低気圧まで発生する予想じゃ。」

生徒 「シアライン自体も南にやや下がってくるように見えますね。」

アウル教授 「そうじゃのう。このため、今降っていない日本海側の地域も雨が降る可能性がある。雨が降ってきたら、ああ、シアラインによる雨かと思い出して、念のためその後の降り方にも注意しておきたい。」

生徒 「図4で今日朝に東北の東に予想されエイル低気圧が気になります。」

アウル教授 「この低気圧はもしかするとすでに日本海に発生しているかもしれんのう。シアラインの雨と言ったが東日本側はこの低気圧による雨の影響もあるのかもしれん。気持ち、秋田県沖では雨雲がやや広がっておるからのう。この低気圧は朝には太平洋へと抜ける予想じゃが、低気圧周りの反時計回りの風を考えるとこの低気圧が離れていくと東北北部の日本海側はやや雨は弱まり、逆に太平洋側は雨が降る可能性があると考えられるじゃろう。まあ、予想がそうなっているから話しているわけじゃが。」

図6 天気分布予報

アウル教授 「はじめの方は晴れの範囲が少なかったのでマーカーにオレンジ色を使ってしまったら途中から晴れの範囲が広がってオレンジ色が見づらくなってしまった。すまん…」

生徒 「えっと…緑で囲った部分は太平洋側の前線による雨、オレンジで囲った部分は日本海側のシアラインによる雨、赤で囲った部分は太平洋側に抜ける低気圧による雨、ですね。」

アウル教授 「太平洋側は前線による雨が止んだ後は回復して晴れ間も広がってくる予想じゃ。夜になると関東は雲が広がってくるがのう。日本海側はなんだかんだ言って雨が止んでいる時間も雲が広がりやすい予想じゃのう。」

生徒 「北海道も日本海側を中心に雪の降る時間帯がある予想ですね。」

アウル教授 「そうじゃのう。大陸からは高気圧が明日にかけて東北へ張り出してくると言ったが、北海道はその過程で一時的に等圧線がやや狭くなって冬型がやや強まる。さらに上空は今日日中に気圧の谷が通過する様子で弱い冬型でも大気が不安定となるために雪が降るところがあるという予想じゃ。天気分布予報では昼前後が一番広く雪が予想されておるのう。」

生徒 「最後にもう一つ。図1の衛星画像で青い丸で囲った部分、渤海にも筋状の雲が現れていますね。」

アウル教授 「そうじゃのう。今、大陸にある高気圧はかなり強い寒気を持っておりそれを象徴するかのような筋状の雲じゃ。今までは北海道方面によく現れていたが今回は渤海にも現れるほどでもう高気圧としては冬並みじゃのう。この高気圧が張り出しその寒気が入ってくる東北や北海道などは今後一層寒くなるということが想像できるわけじゃ。」

図7 今日の天気予報

アウル教授 「北海道は寒い。気温は日中も一桁じゃ。かと思えば東北北部、秋田も青森も1桁なんじゃのう。寒そうじゃ。一方で西日本から東日本は気温はある程度上がって平年並みといったところが多い。ちなみに東京の平年は18〜19℃、大阪で20℃、鹿児島で22〜23℃じゃ。ん?札幌も聞きたい?札幌の平年は12℃じゃからこちらは平年を大きく下回る予想じゃのう。」